
情報応用工学科 菊地研究室
理学的な重力変形の理解,工学的なモニタリング手法の実施と,これらを結び付ける情報工学で,自然災害における防災減災に貢献します.



研究紹介
I.自然災害研究ー斜面未災学の視点ー
茅野市下馬沢川の上流の崩壊地~崩壊地は岩盤ではなく,土石流堆積物または地すべり移動体からなるもので,今後の崩壊発生源になりうるものです.下馬沢川は2021年の土石流によって大型の砂防堰堤が建設されており,しばらくは安全です.しかしこのような地形は諏訪地域の西山地区の多くの中小河川で見ることができます.どこでも見ることができるものを,リスク評価することは非常に難しいのですが,私たちはどのように,その未知なるものに対応していけばいいのでしょうか??

I-1. AIを活用した大規模斜面災害発生箇所の予測
異常気象はもう通常:日本のどの土地も自然の脅威にさらされています.国や自治体には一人一人に情報を出すことはできません(予測できてない).そこで必要なデータを取得します.AIを使って技術者がいなくても最新の異常検知ができるモデルを作りたいと考えています.将来には,地域と一体となり防災システムを確立したいと思います,ただし今は,自分のことは自分で考えなければなりません.オーダーメイド型の防災情報が必要なのです.その一つの現状の解決案として,山津波(鉄砲水)に備えた,中小河川観測システムを提案します.その一部水位監視情報サイトを閲覧することができます.

I-2. 長期計測ーLong Term Measurementー
諏訪地域における水位計・地震計(常時微動計測)設置の取り組み

本研究では,対象を諏訪地域の中小河川としています.この地域の土砂災害は,土石流の発生現象として以下の特性が認められています.
①降雨があるのに河川水位が低下した,
②川からにおいがする,
③川がゴロゴロなる,
④普段水のない川から崩壊する,
これらは今後も同じような前兆現象で発生する可能性があることから,住民からのニーズ,すなわち課題としてこれらを検出する中小河川の見守りシステムとして構築しています.蓄積したデータは,今後の長期観測LTM(Long-term measurement)の初期値として活用することができます.
II. 社会基盤工学
日本の社会基盤(インフラ)は高度経済成長時期に建設されました.例えばダム,発電所,トンネル,高速道路,橋梁などです.この中でも道路はトンネル,橋,舗装,盛土,切土など様々な要素からなります.コンクリートは一般に耐用年数50年といわれます.ですが,すべてを作り替える体力はありませんし,使えるものは使わないと「もったいないオバケ」が出ます.そのような中,使えるものと使えないものの見分けをしなければならないのですが,建設時代の現場で鍛え上げられたプロフェッショナルは続々と引退します.さて,私たちはこれらの先人の作り上げたものをどうやって継承していきましょうか.今,情報工学はこのような分野でも期待されています.

III. 地域課題解決
(異常気象はもう通常ーオーダーメイドの防災情報を!-)
気象変動による災害事象の規模・発生確率は,過去に比べて大きく変化しています。社会基盤の継続的な安定は、膨大なデータを効率よく管理・解析する必要があることが分かっています。しかし、目的に合わせた運用・活用や一般への理解は途上です。そこで、私の研究室では、空間情報データ(数値データ、画像・映像・言語、これらの時系列情報)について、データの寄与条件やデータが有効に使われる条件を、計測データの取得情報や必要とされるニーズとの適合性から考察を進めます。具体的には、地域・個人にオーダメイドされたハザードマップや災害速報などを得ることで社会に貢献します。

防災・減災の研究を諏訪地域で行うことの意味
諏訪地域は,日本を代表する伝統の一つである諏訪大社のおひざ元です.しかし自然災害はこれらに配慮してくれません.諏訪地域には中央構造線と糸魚川静岡構造線が交差し,活断層の巣といえます.これらの活断層が引き起こす地震は南海トラフ・東南海地震の被害よりもはるかに大きいといわれます.また長野県の降雨量は全国に比べて少ないですが,気象変動によりこれまで体験したことのない短時間豪雨を経験したときにどのような斜面災害が発生するかは,誰にもわかりません.さらに長野県の活火山は浅間山や焼岳ではなく,茅野市から眺められる北横岳もそうなのです.
このような大規模な地震や水害が発生する可能性を秘めた,諏訪地域の防災・減災はどのように考えればいいでしょうか?この明確な答えはないのが現代科学の現状です.そこで,私たちは、環境変化を把握するための長期計測(Long-Term Measurement)とAIの組み合わせで住民を守る手法に期待を持っています.本研究は、過去の斜面災害事例を基に機械学習を用いて、災害発生の可能性がある場所と時間を自動的に検出することが目的としています。このようにして作成されたモデルは,諏訪茅野の特有の地形地質に適したモデルになります,しかし将来には日本の災害多発国としての特性を生かすことになり,アジア全体に応用可能な知見を提供することが可能となるでしょう.
今,私たちが何気なく使っている水道,下水道,電気,道路,橋,トンネル,もちろん住居は,そのような災害に耐えられるでしょうか?2024年1月に発生した,能登半島地震と諏訪地域との共通点は意外と多いのです.皆さんの職場やご家族とそのような話題をできるだけ早く出すことをお勧めします.
大学受験をお考えの方
情報学系の工学部を卒業したら、コンピュータにかかわるエンジニアの道しかないと思っていませんか? とんでもない!社会では皆さんのような情報工学のプロを要望しています。それは特に社会基盤分野であるエネルギーや鉄道などのインフラ,建築建設,土木地質,空間情報など,様々な分野で皆さんの社会での活躍を期待しています。
情報工学の基礎を1,2年で身に付けた後は,研究室で地質学・土木工学の視野を身に着けることができます.これは他大学で学べない利点です.これらを十分に吸収できた方は,就職で悩むことはなくなるでしょう.また,さらなる好奇心を追求するために本学,または防災工学系の他大学の大学院を目指すことが可能です.
本学で学んでいただきたいのは,事象に対する観察力と論理的な考察力,そして最も重要なのは好奇心です.
大学院受験をお考えの方
理学部地球科学系,工学部土木工学系を学んだ方は,本学への大学院(修士)への進学をお考え下さい.現代社会において,一つの専門だけでは魅力的ではないと考える方もいます.皆さんの学んだ研究を本大学院で学ぶことのできる情報工学でさらに,付加価値を付けることができます.
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